暮らしのコト

地域密着 愛されご当地パン

洋菓子職人が生み出した珠玉のスイーツパン! 埼玉県川口市の「クロワッサンB.C.」

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地域で愛されているパンを探して、全国各地をゆく「地域密着 愛されご当地パン」。今回は、スイーツのようなクロワッサンがあると聞いて、埼玉県埼玉市の「デイジイ本店」を訪問しました。

埼玉県川口市にあるデイジイ本店

本店は、埼玉高速鉄道「川口元郷」駅から、車で7分ほどのところにあります。

1962(昭和37)年創業のデイジイは、本店を含め川口市に6店、蕨市に1店を構える、地元を代表するベーカリー&パティスリーです。

パンは約150種、洋菓子は約50種類という豊富な品揃えを誇る中で、もっとも人気なのが「クロワッサンB.C.」。京都府山科区にある洋菓子店「スイス菓子 ローヌ」で修行を積んだオーナーが、洋菓子作りの知識や経験を生かして生み出したクロワッサンなんだとか。今回はデイジイで生産管理部長を務める石井謙太さんに案内してもらいました。

デイジイの石井さん

「これが弊社の看板商品です」と石井さん。お店に入ると真っ先に目に入るところに置いてありました。

デイジイのクロワッサンB.C.

「クロワッサンB.C.」237円(税込)。

一般的に思い浮かべる三日月型のクロワッサンとは、一線を画した見た目。まるでケーキ屋さんに並んでいるスイーツのようです。

「お客さまからは、よくシュークリームみたいとおっしゃっていただきます(笑)」と石井さん。たしかに、シュガーパウダーや細かく刻まれたアーモンドもトッピングされているので、スイーツと見間違えるのもよくわかります。さらに割ってみると……。

クロワッサンB.C.の断面

中に入っているのは……クリーム!?

石井さん『クレームダマンド』というアーモンドパウダーで作られる生地です。パンでは馴染みのない素材かもしれませんが、タルトを中心に洋菓子作りではよく使われるものなんですよ。アーモンドクリームとも呼ばれ、甘みが強く、しっとりとした口溶けが特徴です」

早速一口食べてみると、たしかにクレームダマンドは、クリームのように甘くて口の中でとろけましたバターのこってり感卵のうま味があるので、カスタードクリームを彷彿させる味。サクッとした食感のクロワッサンと絶妙にマッチして、まるでパイ生地でできたシュークリームを食べているような気分になります。

これにクロワッサンのバターの香りと、クレームダマンドの香り高いアーモンド風味が重なり、奥行きのある味わいを感じさせてくれます。また、クロワッサンの上に散りばめられたクラッシュアーモンドのザクザク感、細かく刻まれたクッキーのサクサク感も楽しむことができるので、食感も豊かです。

奥深いスイートな味とさまざまな食感で、心もお腹も満たしてくれるクロワッサンでした。

◼コンクールのために誕生した作品

なかなかお目にかかることのないスイーツ仕立てのクロワッサン。誕生したきっかけは?

石井さん「1996(平成8)年、弊社のオーナーが「日本乳製品協会主催 第4回バターと生クリームを使ったプロによるパン・洋菓子コンクール」のパン部門に出展するため、洋菓子作りの修行でつちかったアイディアを凝縮させ、味と見た目に趣向をこらしたクロワッサンを生み出しました。名前のBはバターCはクロワッサン、ケーキ、クッキーという意味をそれぞれ持っています。結果として、スイーツとクロワッサンの絶妙な融合を楽しめるパンとして評価していただき、農林水産大臣賞を獲得することができました」

洋菓子職人のアイディアが詰めこまれたスイーツクロワッサンは、一体どのように作られているのでしょうか。その工程を見せていただきました。

クロワッサン生地でクレームダマンドを包みこんでいるところ

クレームダマンドをクロワッサン生地で包んでいるところ。

石井さん「クレームダマンドは、40gを目安に包むことで、クロワッサンの中にスポンジと空気をふんわり抱えこむことができます。量が多いと、味がどしっと重くなり、クロワッサンの軽い食感が損なわれます。また量が少なくても、全体の味わいが物足りなくなったり、クロワッサンの空洞が多くなることで形が崩れやすくなったりするんです」

成形した生地をタルト作りなどに使用される金型に入れ、2〜3時間ほど発酵します。その後、見た目と味わいをよりアップさせるために、さまざまな工夫を施します。

焼く前のクロワッサンB.C.にドリュールを塗るところ

発酵によって膨らんだ生地に、ドリュール(溶き卵)を塗ります。こうすることで、焼いた後、パンにツヤが出ます。

焼く前のクロワッサンB.C.にトッピングをしているところ

ドリュールを塗った後は、クラッシュしたアーモンドとクッキー生地をトッピング。溶き卵を塗ることで、飾付けが生地に定着しやすくなるんだとか。

焼きたてのクロワッサンB.C.

15分かけて焼いた後、仕上げにシュガーパウダーをふりかけて完成です。

石井さん「クロワッサンやクレームダマンドのバランス、3種のトッピングなど、細部まで見た目にこだわるのは、オーナーが洋菓子作りで学んだ表現力が大いに関係しています。シンプルながらもきれいに飾られたスイーツは、食べる前からお客さまを笑顔にさせる力があるんです。そんなクロワッサンを作ることで、まずは目で、その後に舌で、ささやかな幸せを実感してもらえればと願っています」

コンクールのグランプリである農林水産大臣賞を受賞したパンと大々的に売り出したことで、お客さんの目に留まり、デイジイを代表する商品として、地元で人気が定着していったといいます。

さらに、2011(平成23)年に開催された第2回日本全国ご当地パン祭りでは、来場者による人気投票で見事グランプリを獲得。これが火付け役となり、テレビ番組や雑誌などのメディアで取り上げられ、県内外からも注目されるようになったんだとか。土日祝日は、関東圏を中心に県外から車で買いに来るお客さんも少なくありません。

また近年は、県外のお客さんからの問い合わせが増えたことで、インターネットでの販売も開始。2017年9月には池袋の東武百貨店、2018年2月には東京駅構内のGRANSTA(グランスタ)に、「デイジイ東京」もオープンしました。こうして、ますます人気が高まっているクロワッサンB.C.。自分用として楽しむだけでなく、大切な人に贈る手土産として愛用している人も多いといいます。

お土産に最適なパック詰めのクロワッサンB.C.

クロワッサンB.C.には、手土産用におすすめのパック詰めもあります。左から、2個入り475円(税込)、4個入り950円(税込)。

アートのように美しい見た目と、パンとスイーツの融合で心をときめかせるクロワッサンB.C.。これを食べた後、きっと誰かに甘い幸せをおすそ分けしたくなるかもしれません。

  • 店舗情報 ●デイジイ本店
    住所:埼玉県川口市弥平2-9-17
    電話:048-227-6060
    営業時間:8:00〜19:00(不定休)
    公式HP: http://www.daisy1962.co.jp

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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